個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)

iDeCoってなに?
iDeCo(Individual Defined Contribution)は、個人型確定拠出年金のことを指します。労働者が個人的に自分の老後の生活を支えるために資金を積み立てるための制度です。
日本の公的年金制度は、20歳以上の全国民が加入する「国民年金」、会社員や公務員が加入する「厚生年金」で構成されています。
その他に個人が加入する年金があり、民間企業が福利厚生で実施する厚生年金基金や企業年金、厚生年金の加入対象でない自営業者・フリーランスの人が加入できる国民年金基金があります。
iDeCoは個人型年金のうち確定給付型年金(将来の給付額が確定している)と並んで実施されている確定拠出年金(給付額は決まっておらず掛金が確定している)という制度の個人型の呼称です。
確定拠出年金は企業が導入し、従業員のために掛金を拠出する企業型と個人が任意で加入する個人型があり、iDeCoは個人型の確定拠出年金にあたります。
確定拠出年金では、掛金を自己責任で運用します。
加入者は運営機関から提示されるリスクとリターンの異なる商品から、掛金を投資する商品を選び運用します。
加入者ごとの拠出額と運用の収益をもとに、年金給付が行われます。
給付は①老齢給付 ②障害給付 ③死亡一時金があります。
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できる人
iDeCoに加入できる対象者は、以下の加入条件に該当する人になります。
- 会社員・公務員など(厚生年金の被保険者)
- 満20歳以上60歳未満の自営業・フリーランスとその家族(国民年金の被保険者)
- 厚生年金の被保険者に扶養されている満20歳以上60歳未満の人(専業主婦等)
- 60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している人
- 国民年金に任意加入している海外居住の人
公的年金に加入していても、年金保険料を払っていない人、国民年金保険料の免除・納付の猶予を受けている人はiDeCoに加入することはできません。
加入できる人の職業・働き方や企業年金との兼合いで掛金の上限が異なりますので注意しましょう。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の運用
掛金の運用商品は自分で決める
自分で決めた運用方針に沿って運用商品を選択し、掛金でどの運用商品をどれだけ購入するかの配分(掛金の何パーセントをどの商品に振り分けるかの比率)を決める必要があります。
多くの金融機関ではiDeCo向けに10〜20本程度の商品を用意していますので、自分の運用方針(許容できるリスクレベル)に応じた商品を選びます。
元本確保型の商品、一般的にはリスクが高いと言われる株式中心の投資信託など多数の商品がありますので、リスク許容度から資産配分を考えます。
個人型確定拠出年金(iDeCo)のメリット
掛金は所得控除
iDecoの掛金の額は拠出限度額の範囲内で5,000円以上1,000円単位で任意に設定でき、掛金額の変更も年に1回は自由にできます。
支払った掛金は所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となり、税制面で支援されています。
所得控除のイメージとしては、年収400万円の会社員が月に5,000円掛金を拠出した場合は年間で約9,000円※の節税効果があります。
※年間の掛金に対し、年収などから計算された課税所得をもとに所得税率と住民税率をかけた額
運用益は非課税
通常、金融商品などの投資で利益が出ると、利益に対して税金がかかります。(原則、税率20.315%)
iDeCoで運用した場合、運用時に得た利益には税金がかかりません。
年金資産は持ち運びできる
iDeCoの年金資産は個人別に管理されていて、持ち運びすることができます。
転職や退職した場合、新しい勤め先で加入を継続したり、勤め先に企業型確定拠出年金がある場合には、年金資産を移換することができます。
受取時には一定の非課税枠がある
iDeCoの受取りは「年金」もしくは「一時金」の選択ができます。(併用も可能)
受取り時には一定の非課税枠があります。
年金受取の場合→雑所得として公的年金等控除が適用
一時金受取の場合→退職所得として退職所得控除が適用
参考↓
退職金・年金にかかる税金
iDeCoのデメリット
運用損が発生する可能性がある
iDeCoでの運用は自己責任で運用するため、運用成果が悪ければ、資産を減少させるリスクがあります。
自己責任で運用の成果をあげるためには、基礎的な投資理論や商品運用知識を身につける必要があり、投資ノウハウを得るために時間と多少の努力が必要となります。
給付額が確定しない
iDeCoは運用の成果で給付額が決まるため、受給を開始するときまで年金資産がいくらになるのか確定しません。
そのため、iDeCoの年金だけでは老後の生活設計が立てにくいというデメリットがあります。
掛金の引出しは60歳までできない
原則として、60歳まで掛金の途中引き出しはできませんから、急な資金が必要な場合に掛金で対応することはできません。
老齢給付金は60歳から受給が原則ですが、通算加入期間に応じて受給可能な年齢が異なります。
重要なのは、iDeCoはあくまで年金であるということが大前提だということです。
通算加入期間 | 受給可能な年齢 |
10年以上 | 60歳から受給可能 |
8年以上 | 61歳から受給可能 |
6年以上 | 62歳から受給可能 |
4年以上 | 63歳から受給可能 |
2年以上 | 64歳から受給可能 |
1か月以上 | 65歳から受給可能 |
移換や口座管理に手数料がかかる
iDeCoの手数料は加入者が負担します。
主な手数料は以下の4点です。
1.加入時・移換時手数料:加入時に国民年金基金連合会に手数料を支払います。
2.口座管理手数料:運営金融機関に支払う加入者の専用口座の維持手数料です。手数料額は運営金融機関ごとに異なります。
3.給付事務手数料:給付金を受け取る際には、給付一回につき440円(税込)の手数料がかかります。
4.信託報酬:拠出をする商品の管理・運用手数料です。商品ごとに異なります。

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